クイックコート(糖衣菓子下掛け剤)

 コーテイングキャンデイ(糖衣菓子)は、センターと呼ばれる、グミチョコレートチューインガムナッツ、タブレットなどの粒菓子を、回転するレボリングパンの中に入れ、砂糖、マルチトールキシリトールチョコレートなどで、コーテイング(糖衣)して作られます。

センターをコーテイング層と隔離(セパレート)するため、古くから使われている技法は、レボリングパンの中で、センターを アラビアガムの水溶液で濡らし、その上に、粉砕した砂糖を掛けて糖とアラビアガム、水からなる被膜で センターを被覆し、一晩置いて乾燥させてから次にコーテイングに移るという方法であり、現在でも 一般に使われている技法です。

 この被膜を作る操作を、プレコーテイング(下掛け)と呼んでおり、大変重要な工程です。この工程で 完全に緻密な被膜が出来ないと、センターから遊離する水分や油分が糖衣層に移行し、最終製品に、 パンク、ひび割れ、色むらを生じさせたりするだけでなく、表面がざらつき、綺麗な糖衣菓子が出来ません。

 アラビアガム溶液と糖の粉末を使用する伝統的なプレコーテイング(下掛け)方法により、完全に均一な 被膜をセンター表面に作るのは至難なことです。従い、日本では、水分や油分が多い、軟らかい、或いは、 角があったりして不均一な形状のセンターを使った糖衣菓子は、市場に出してから、ひび割れなどの問題を 生じやすく、商品化が敬遠されています。

 クイックコートは、こうした伝統的な下掛け方法の限界を克服し、通常、製品化困難と言われる、 水分や油分が多く軟らかい、不均一形状のセンターに対しても、水分、油分の移行を防ぐことが出来る 均一で緻密な、アラビアガム/糖の被膜生成を可能にします。

 クイックコートは、アラビアガムと糖を含む微細な粉末であり、プレコーテイング(下掛け)工程は、 レボルパンの中で、センターを回しながら、クイックコートの水溶液でセンター表面を濡らし、すぐに クイックコート粉末を掛け、20分程度レボルパンを回すだけでセンター表面に均一なアラビアガム/糖 の被膜を作ることが出来ます。伝統的な下掛け方法のように、トレーに取って一晩置く必要が無く、 すぐ次のソフトコーテイング工程を開始することが出来るので、工場採算の観点からも経済的に有利です。

 クイックコートには、砂糖を使用したシュガータイプとシュガーフリータイプがあり、シュガーフリータイプ には、クイックコート・マンニトールクイックコート・マルチトールの2タイプがあります。

クレオでは、糖衣菓子用製剤として、糖衣層に添加出来るクエン酸製剤クイックアシッド 表面光沢剤クイックグランツも用意しています。